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離婚についての知識knowledge

裁判離婚

裁判離婚とは

調停が不成立であった場合や、実質的な調停活動はあったものの調停が取り下げられた場合、当事者は離婚の訴えを提起することができます。
調停がすでになされていることは離婚訴訟に必要な要件ではありません。ですので、調停手続を予め行わずに離婚訴訟を提起しても、不適法な訴えとなるわけではありません。しかし、調停に付すことが適当でない場合以外は事件が調停に付されることとなります。
裁判離婚では、協議離婚や調停離婚とは異なり、法律で定められた離婚原因が認められなければ、判決で離婚は認められません。ただし、裁判が始まった後でも、被告が裁判期日に原告の請求を認めた場合や、裁判中に当事者間で離婚の合意が成立した場合には、判決によらず、離婚をすることができます。
判決に不服である場合は、上訴(控訴・上告)することができます。

管轄

離婚訴訟について、家庭裁判所相互間において、どの裁判所が裁判権を有するかという定めを離婚訴訟の土地管轄といいます。夫又は妻が普通裁判籍を有する地を管轄する家庭裁判所が管轄裁判所になります。
※ 普通裁判籍とは、住所地をいいます。住所地とは、その人の生活の本拠である地をいいます。日本国内に住所がないときまたは住所が知れないときは、居所(生活の本拠ではないが、多少の期間継続して居住する場所をいいます。)が、 日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所地が普通裁判籍となります。
裁判所が離婚訴訟の管轄を有しない場合であっても、当該事件に前置される調停事件がその家庭裁判所に係属していたときには、調停の経過、当事者の意見その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該離婚訴訟を向ら審理及び裁判することができます。(これを自庁処理といいます)。未成年の子がいる場合に自庁処理をするには、その子の住所又は居所を考慮しなければなりません。また、裁判所が自庁処理をするには、相手方の意見を聴いて決定をしなければなりません。

離婚の請求

離婚の訴えの提起は、訴状を管轄家庭裁判所に提出してしなければなりません。訴状には、まず、①当事者及び法定代理人、請求の趣旨、請求の原因を記載する必要があります。さらに、請求を基礎づける事実を具体的に記載して、立証を要するごとに、当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記記載しなければなりません。
離婚訴訟は、当事者の戸籍謄本を添付することが必要です。
離婚訴訟の訴訟物は、離婚求権ですが、民法770条1項各号の離婚事由ごとに訴訟物が異なるとされています。

附帯処分

附帯処分とは

離婚の訴えでは、申立てにより、離婚の審理とあわせて、子の監護に関する処分(親権者の指定、養育費など)、財産の分与に関する処分、年金分割に関する処分について審理を行うことができます(「附帯処分」)。
附帯処分等については、離婚請求等と同時に審理を行うことを求めることができ、その申立ては事実審の口頭弁論終結時まで行うことができます。実務上は、離婚等の訴え提起と同時に申立てがされる場合が多いです。なお、附帯処分等の申立は、書面でしなければなりません。

親権者の指定

未成年の子の親権者の指定は、申立てがなくても、裁判所が職権で定めなければなりません。親権者の指定を求める申立は附帯処分の申立てではなく、裁判所の職権発動を促す申立てです。裁判所は申立てがなくても親権者を判断することになりますが、 実務においては.親権者を自分に指定するよう求める旨の申立てがなされることが多いです。

子の引き渡し

子を監護していない母または父が、 自らを親権者として指定することを求めるとともに、子を監護している父又母に対し、子の引き渡しを求めることがあります。裁判所は、子を監護していなかった父または母が子を監護していた母または父の下から子を連れ去って.現に監護しているような場合に、子を連れ去られた母または父を親権者と定めるべきでありその判断内容を実効性のあるものとすることが必要であると考えたときは、子の親権者を指定するとともに、子の引渡しを命じることができます。このような子の引き渡しを求める申立ては.裁判所の職権の発動を促すものと解すべきです。

子の監護に関する処分

子の監護に関する処分には、子を監護していない夫又は妻から子の監護をしている妻又は夫に対する面接交渉を求める申立ても含まれます。
養育費の支払の申立ては、離婚後の子の監護費用としての性質を有しています。

財産分与に関する処分

財産分与に関する処分は、その申立てをするには、その額や方法等を明示する必要はありません。裁判所は、当事者から分与方法や給付金額を明示した申立てがされたとしても、 これに拘束されずに、事案に即した額や方法を命じることができます。
財産分与に関する処分の申立てがある場合、裁判所は、当事者がその申立ての取下げをしない限り離婚判決とともに財産分与についても同時に判断しなければなりません。

慰謝料請求

家庭裁判所は、 慰謝料請求については管轄を有していませんが、離婚訴訟に係る請求の原因である事実によって発生した慰謝料請求については、人事訴訟と併合して審理することができます。そのため、慰謝料請求は、離婚訴訟と併せて提起することができます。

手数料

離婚請求の訴額は160万円とされています。印紙額は、1万3000円となります。
附帯処分等の申立てがある場合、①.親権者の指定の申立ては、手数料は不要です。②養育費、財産分与、年金分割の申立ては、訴えの手数料とは別に、家事審判事項の申立手数料として1200円の納付が必要となります。ただし、数人の子の養育費の請求は、子1人について1200円となります。また、年金分割については、複数の年金の分割を求める場合には、年金制度1つについて1200円となります。③子の引渡しを求める場合、手数料は不要です。
慰謝料請求を併合した場合には、訴額は、離婚請求の訴額と慰謝料請求の訴額を比べ、多額の一方によります。