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会社経営者(社長)を夫にもつ妻の離婚について ~会社名義の財産は財産分与の対象となるか?~

  • 会社経営者(社長)
夫が会社経営者の場合、例えば会社名義で自動車を購入し、プライベートでもその会社名義の自動車を使用するなどのことが考えられますが、このような場合、会社名義の財産は、財産分与の対象となるのでしょうか。

この点、会社の財産については、会社と夫個人が別人格であるため、会社名義の財産は財産分与の対象とならないのが原則です。

会社財産が財産分与の対象になる場合

会社名義の財産であっても、実質的に夫婦の財産と認められるような場合には、例外的に財産分与の対象と認められる場合があります。

例えば、夫と妻のみが出資する会社であり、会社の資産と夫婦の資産とが明確に分離されずに管理されていると認められるような場合は、財産分与の対象となる財産を確定するにあたり、会社名義の資産・負債について考慮される余地があります。

東京地裁平成14年10月25日判決

東京地裁平成14年10月25日判決は、夫が経営する有限会社について、夫と妻のみが出資する小規模の会社であること、離婚訴訟に先立つ調停にて、夫が会社から妻に対して毎月30万円及び7月と12月にはボーナス名目でそれぞれ25万円を付加金として支払われることを約束しており、会社が支払うことを夫が約束できたのは、会社があくまで個人会社であり、夫がその支払い権限を一手に握っていたことなどの事情を認めたうえで、「会社資産と原告及び被告の資産とは明確に分離されずに管理されている」との認定を行い、会社名義財産も、財産分与の対象に含めるとの判断をしました。

ただし、会社名義の財産が財産分与の対象財産となるのは、上記のとおり、あくまでも例外的な場合であり、妻としては、会社の規模や、会社の資産と夫婦の財産の管理方法などを十分に考慮したうえで、会社名義の財産を財産分与の対象とする旨の主張立証をすることが重要となります。