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財産分与の進め方|協議・調停・審判・裁判の違いと実務上の留意点

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離婚する際に決めるべきことの一つに「財産分与」があります。夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を、離婚時に分け合う手続きです。しかし、この財産分与の話し合いがうまくいかず、「協議で決まらない場合はどうすればいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 このコラムでは、財産分与を当事者間の話し合いで決める財産分与の協議、家庭裁判所で話し合う財産分与の調停、そして最終的な判断を裁判所に委ねる財産分与の審判・裁判という手続きの流れと、それぞれの違いについて、わかりやすく解説します。

全体の流れ

財産分与を決める手続きは、一般的に「協議」→「調停」→「審判・裁判」という流れで進みます。

協議→調停→審判・裁判

まずは、財産分与をどのようにするかについて、夫婦間での話し合い(財産分与の協議)を行うことが一般的です。夫婦間の話合いで財産分与の内容について合意できれば、財産分与の問題は協議で解決します。

しかし、当事者間で協議ができない、または協議をしても合意に至らない場合、家庭裁判所に財産分与の調停や審判(後述するとおり、財産分与の審判は、既に離婚が成立している場合の手続きです。)を申し立てることになります。この申立ては、離婚した時から2年以内(なお、令和6年の改正民法(令和8年4月1日施行)により、令和8年4月1日以降に離婚が成立する場合には、離婚した時から5年以内)に行う必要があります。

家庭裁判所での手続きは、まず財産分与の調停から始まるのが一般的です。調停は、調停委員という中立な第三者を交えて話し合い、合意による解決を目指す手続きです。

もし調停でも話がまとまらず不成立となった場合、離婚が成立している場合には審判という手続きに移行します。また、離婚が成立していない場合は離婚訴訟を提起して、離婚訴訟の手続きの中で財産分与についても判断してもらうことになります。審判・裁判では、裁判官が一切の事情を考慮して、分与の額や方法を決定します。

協議による財産分与のメリット・デメリット

協議のメリットは費用や時間をかけずに、当事者間で柔軟に内容を決められることです。一方で、感情的になりやすく、話し合いがまとまらない可能性があることがデメリットとなります。

調停による財産分与のメリット・デメリット

調停のメリットは以下が挙げられます。

  • 中立な調停委員が間に入ることで、冷静な話し合いが期待できる。
  • 分割払いなど、当事者の事情に応じた柔軟な解決が可能。

デメリットは以下となります。

  • 相手方が出席しないと、話し合いが進まず調停が不成立になることがある。
  • 話し合いを重ねても、最終的に合意に至らない可能性がある。

審判・訴訟による財産分与のメリット・デメリット

審判・訴訟のメリットは、当事者間で合意ができなくても、裁判所が法的な拘束力のある判断を下してくれることです。

デメリットは、手続きが厳格で、時間がかかる傾向にあり、当事者の負担が重くなる可能性があることです。

財産分与の進め方

資料の準備

財産分与の対象となるのは、基本的に「夫婦が婚姻中に協力して得た財産」です。

そのため、預貯金、不動産、自動車、保険、有価証券など、婚姻中に築いた財産の存在を裏付ける資料があると、手続きがスムーズに進みます。

合意形成に向けて

財産分与は、単に財産を半分に分けるだけではありません。財産分与には、以下の3つの要素が含まれると解釈されており、協議や調停では、これらを総合的に考慮して話し合うことが合意形成に繋がるでしょう。

  • 清算的要素: 婚姻中に夫婦で協力して築いた財産を公平に清算する。
  • 扶養的要素: 離婚によって生活が困窮する一方の配偶者を、もう一方が経済的に扶養する。
  • 慰謝料的要素: 離婚の原因を作った側が、相手方の精神的苦痛に対して支払う損害賠償。

これらの「その他一切の事情」を考慮して、お互いの離婚後の生活も見据えながら、現実的な落としどころを探っていくことが大切です。

合意内容の書面化

協議によって財産分与の取決めを行う場合、口約束だけでは、後々「言った、言わない」のトラブルになりかねません。協議で合意した内容は、必ず書面に残しましょう。

また、合意書を公証役場で「公正証書」にしておくと、仮に相手が金銭の支払いを怠ったとしても、裁判を起こさなくても強制執行(給与や財産の差し押さえ)が可能になります。

調停調書、審判、判決の拘束力

裁判所の判断には、法的な拘束力があります。

  • 調停成立
    調停で合意が成立すると、その内容をまとめた「調停調書」が作成されます。この調停調書は、確定した判決と同じ効力を持ちます。
  • 審判
    審判で裁判官が下した判断(審判)は、当事者が2週間以内に異議を申し立てなければ確定し、確定した判決と同様の効力を持ちます。
  • 判決
    確定した判決は、法的な拘束力を持ちます。

これらの法的な効力により、相手が合意や決定に従わない場合には、強制執行によって財産を差し押さえるなど、内容の実現を強制することが可能になります。

まとめ

財産分与は、原則として当事者間の協議から始まり、合意に至らない場合には調停、さらに審判または訴訟へと段階的に進みます。

協議は柔軟かつ迅速な解決が可能である一方、感情的対立により限界が生じることがあります。調停では中立的な第三者の関与により合意形成が図られ、実務上も中心的な手続です。それでも解決しない場合には、裁判所が法的拘束力を有する判断を下します。

財産分与の協議、調停、審判、裁判でお悩みの方は、ご相談ください。

※本コラムは掲載日時点の法令等に基づいて執筆しております。