財産分与とは?やさしい解説ガイド
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離婚を考えるとき、お金のことは大きな心配事の一つですよね。なかでも財産分与は、離婚後の新しい生活をスタートさせるための大切な基盤となります。このコラムでは、財産分与とは何かを簡単に、そして分かりやすく解説します。財産分与の基本から進め方、よくある質問をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
目 次 [close]
財産分与の基本
財産分与の基本を、まずはシンプルに3つのポイントで押さえましょう。
結婚中に増えた財産を分ける
財産分与とは、簡単に言うと、結婚生活の間に夫婦が協力して築き上げた財産を、離婚する際に公平に分け合う手続きのことです。婚姻期間中に形成された財産であれば、基本的には夫婦が協力して築き上げた財産として、財産分与の対象となります。
名義に関係なく公平に
預貯金や不動産などの名義が夫または妻のどちらか一方になっていても、それが結婚生活中に協力して得たものであれば財産分与の対象財産となります。財産の名義は関係ありません。分ける割合については、夫婦それぞれの財産形成への貢献度によって決まりますが、原則として2分の1ずつとする「2分の1ルール」が採用されることが多くなっています。
なお、令和6年改正民法(令和8年4月1日施行)では、「当事者双方がその協力により財産を取得し、又は維持するについての各当事者の寄与の程度は、その異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。」(民法768条3項)と規定されており、いわゆる2分の1ルールが明文化されました。
夫婦の話合いで決まることが多い
財産分与の具体的な分け方や金額は、まず夫婦間の話し合い(協議)から始めるケースが多いです。もし話し合いで合意できない場合や、話し合い自体が難しい場合は、家庭裁判所に調停や審判(離婚成立前であれば裁判)の手続をとり、第三者を交えて解決を目指すことになります。
財産分与の対象になるもの(共有財産の例)
それでは、具体的にどのようなものが財産分与の対象となる共有財産なのでしょうか。いくつか例を挙げて見ていきましょう。
預貯金・不動産・車
結婚生活中に夫婦で貯めた預貯金や、購入した家・マンションといった不動産、自動車などの動産は、名義がどちらであっても共有財産として分与の対象になります。
保険・退職金
まだ受け取っていない将来の財産も対象となる場合があります。例えば、以下のようなものです。
- 生命保険など: 基準時に解約した場合に受け取ることができる解約返戻金額が財産分与の対象財産となります。
- 退職金: 基準時に「自己都合退職した」と仮定して計算される金額のうち、婚姻期間に相当する部分が財産分与の対象となるのが一般的です。
家具・家電等
結婚生活中に購入した家具や家電などの動産も、財産分与の対象に含まれます。
ただし、財産的価値がない家具や家電も多く、またすべての家具や家電を夫婦で分配することは現実的ではありませんので、実務上は、家具や家電は財産分与の対象財産に含めないことが多いです。
財産分与の対象にならないもの
一方で、夫婦の協力とは関係なく得た財産(特有財産)は、財産分与の対象にはなりません。典型的な例は以下のとおりです。
婚姻前の預貯金
結婚する前からそれぞれが持っていた預貯金や財産は、一方の特有財産とされ、財産分与の対象外です。
贈与・相続財産
結婚している間に、どちらか一方が相続や贈与で得た財産も特有財産となり、原則として財産分与の対象にはなりません。
個人の慰謝料等
名誉毀損や不貞行為の慰謝料など、夫婦の協力とは無関係に受け取った損害賠償金は、特有財産と考えられており、財産分与の対にはなりません(ただし、損害賠償金の性質によっては、財産分与の対象となるものもあるため、注意が必要です。)。
進め方の手順
話し合いで財産分与を進める際の基本的な流れを解説します。
1. 夫婦共有財産の把握
まず、夫婦の共有財産がどれだけあるのかを正確に把握することから始めます。預貯金、不動産、保険、有価証券など、すべての財産をリストアップし、それぞれの現在の価値(評価額)を算出します。
2. 話し合い
財産の全体像が把握できたら、それをどのように分けるか夫婦で話し合います。「どの財産をどちらが受け取るか」「分与の割合をどうするか(原則2分の1)」「一括払いか、分割払いか」といった具体的な内容を協議し、当事者の意向を確認します。
3. 書面化
話し合いで合意した内容は、後のトラブルを防ぐためにも、必ず書面に残しましょう。場合によっては、公正証書を作成することも検討しましょう。
4. 義務の履行
最後に、合意した内容どおりに財産の引き渡しや金銭の支払いを行います。なお、義務の履行がなされないに場合は、別途手続を取ることを検討することになります。
よくある質問
ここでは、財産分与に関するよくある質問とその答えをまとめました。
Q. 家(不動産)はどうなることが多いですか?
A. ケースバイケースですが、主に以下の方法が考えられます。
- どちらかが住み続ける: 一方が家を取得し、もう一方にその価値の半分に相当するお金(調整金)を支払う方法です。
- 売却して分ける: 家を売却し、得られたお金を夫婦で分ける方法です。
どちらの方法を選ぶかは、住宅ローンなどの負債も考慮し、双方の希望や資力も念頭に置いて話し合って決めることになります。
Q. 財産分与に請求期限はありますか?
A.財産分与を請求できる期間には制限があり、離婚が成立した時から2年以内(ただし、令和6年改正民法(令和8年4月1日施行)によって、令和8年4月1日以降に離婚が成立する場合には、5年以内)です。この期間を過ぎてしまうと、財産分与を請求することができなくなるため、注意が必要です。
まとめ
今回は、「財産分与とは何か」という基本から、対象となる共有財産の例、進め方の手順までを簡単に解説しました。 財産分与は、夫婦が結婚生活で協力して築いた財産を公平に清算し、離婚後の新しい生活の経済的な基盤を作るための非常に重要な制度です。名義にかかわらず原則2分の1で分けることができること、離婚後に請求期限があることなどをしっかり覚えておきましょう。このコラムが、あなたの新たな一歩をサポートする一助となれば幸いです。また、当事務所では、財産分与に関するご相談を多くお受けしています。財産分与でお悩みの方は、ぜひご相談ください。
※本コラムは掲載日時点の法令等に基づいて執筆しております。
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