同居中の財産をすべて妻が管理しており、夫において夫婦共有財産が不明である場合に、妻から離婚調停を求められた事例 - 小西法律事務所(離婚の法律相談)離婚について弁護士への無料相談は、小西法律事務所(大阪市北区)まで

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同居中の財産をすべて妻が管理しており、夫において夫婦共有財産が不明である場合に、妻から離婚調停を求められた事例

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依頼者・相談者

男性 60代

背景・相談内容

 Aさんと妻Bは、結婚して約30年になりますが、10年前から別居状態が続いています。また、Aさんと妻Bは、結婚後、住宅ローンを組んで、夫婦共有名義で不動産を購入しましたが、現在、その不動産には妻Bが居住しております。なお、住宅ローンの契約者はAさんで、月々の住宅ローンもAさんが支払っています。

 その後、妻Bは、Aさんに対して離婚調停を申立てました。妻Bは、自宅不動産での居住を希望しています。なお、住宅ローンは、1000万円以上残っておりますが、妻Bは、離婚後も引き続きAさんに住宅ローンを負担してもらいたいと考えております。

 なお、同居中、夫婦の財産はすべて妻Bが管理していたため、Aさんは、夫婦の財産がどのくらいあるのか全く把握しておりませんでしたが、妻Bは、不動産以外の財産は一切ないことを主張しています。

 しかし、Aさんの年収からしたら、自宅不動産以外に、一千万円以上の預貯金等あることが予測されましたため、Aさんは、妻Bの主張が信用できませんでした。

 Aさんとしては、不動産を売却したうえで、その売却代金を含めた夫婦の共有財産の折半を希望していましたが、妻Bは、不動産以外の財産は一切ないとの主張を繰り返すばかりでしたので、今後どのように調停手続を進めるべきか、当事務所に相談に来られました。

弁護士の回答・アドバイス

 清算的財産分与は、基準時(別居日)の夫婦の財産を原則2分の1ずつ分配する制度です。しかし、そもそも夫婦の財産の全体像が明らかでなければ、公平に分配することはできません。

 そのため、まずは、妻Bにどのような財産があるのかを明らかにしてもらい、その上で分与方法を話し合うべきであること、妻側の財産について口座や保険等、夫側で把握しているものがあるのであれば、具体的に口座等を指摘したうえでそれらの資料を全て開示してもらうべきであることを助言しました。

 そのうえで、当事務所の弁護士が代理人として就任することになりました。

手続きの流れ

 まずは、基準時の妻側の財産を開示してもらいたいことを、再々にわたり、調停の場で妻側に伝えました。妻側は、なかなか財産の開示に応じようとしませんでしたが、妻側から離婚を求めている以上、妻側の財産開示がなければ、夫側として離婚の話を進めることはできないこと、夫がその存在を認識している妻名義の口座もあり、その口座の開示がなければ調査嘱託の申立て等も考えていることを伝え、妻側の任意の財産開示を促しました。

 そうしたところ、ようやく妻側の財産の開示を受けることができ、不動産以外に、妻の預金が約1000万円あることが明らかとなりました。

 その後の話し合いで、Aさんの希望どおり、不動産を売却して、その売却代金を夫婦で分配することとなりましたが、妻側に預金が約1000万円あるという前提で分配することができました。

担当弁護士のコメント

 財産分与の場面において、相手方配偶者が管理している財産がわからない、資料も提出してもらえないといった相談を受けることがそれなりにありますが、相手方に任意に財産開示をしてもらえない場合は、財産があるはずだと主張する側が、積極的に相手方の財産を調査し、調停や裁判の場に証拠として提出しなければなりません。

 本件では、妻側の財産について、夫にいくつか心当たりがありましたので、それらを指摘したことによって、財産の任意開示を受けることができたため、事案の解決につながりました。