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離婚原因としての不貞行為(浮気・不倫)とは?

  • 不貞行為

 夫または妻の様子がおかしく、浮気や不倫を疑って悩んでおられる方もいるかもしれません。
 浮気や不倫の定義は人によって異なりますが、離婚や慰謝料請求を考えたときに法律上問題となるのは、その行為が「不貞行為」に該当するかどうかとなります。
 一般的に使われる「浮気」や「不倫」が必ずしも「不貞行為」に該当するわけではありません。
 今後10回に渡り、不貞行為について解説致します。第1回目となる今回のコラムでは不貞行為の法的定義について解説いたします。

不貞行為とは

 夫婦間には貞操義務があります。
 そのため、不貞行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうと解されています。
 不貞行為は、民法上、離婚原因とされています(民法770条1項1号)。
 また、不貞行為は、民法上の不法行為に該当します(民法709条)。

貞操義務とは

 夫婦は、お互いに配偶者以外との性交渉を持たない義務を負い、これを貞操義務といいます。
 貞操義務について法律による明文規定はありません。しかし、日本の婚姻制度が一夫一妻制をとっていること、また重婚が禁止されていること(民法732条)、不貞行為が離婚原因となること(民法770条1項1号)などから、夫婦は互いに貞操義務を負うと解されています。
 なお、この貞操義務は、内縁の夫婦や婚約をしている男女間にもあると考えられています。

不貞行為と認められるケース、認められないケース

 不貞行為には、相手の合意がない性行為や、対価として金銭を支払う性行為も含まれます。
 また、性交渉まではいかなくとも、それに近い類似行為であれば不貞行為として認められるケースもあります。
 一方で、性行為や肉体関係を伴わなければ、日中のデート、食事、キスやハグなどでは不貞行為と認められるケースは多くありません。しかし、その男女の関係(交際状況や交際期間)によっては、夫婦の平穏な生活を害したとして不法行為と判断されるケースもあります。

同性同士の不倫について

 不貞(浮気・不倫)相手が同性であった場合、判例上は、離婚原因としての不貞行為にあたらないと考えられており、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)として離婚原因となりえると考えられております。
 ただし、近年、LGBTの方々が社会において認知・許容されてきたとの背景があり、裁判所においても、多様性の理解が進んでおります。
 東京高裁令和2年3月4日判決では、同性事実婚の関係にあった女性が、同性事実婚の相手がその女性以外と性的関係を持ったため、同性事実婚の関係が破綻したと主張して慰謝料の請求をした事案において、「同性同士のカップルにおいても、両者間の合意により、婚姻関係にある夫婦と同様の貞操義務等を負うこと自体は許容されるものと解される」として、慰謝料の支払義務を認めており、同性婚での当事者間の貞操義務を認めています。
 また、同性同士の性的行為を「不貞行為」であるとして、不貞相手に慰謝料の支払義務を認めた判例等もあり、今後の司法判断に注意が向けられているところです。