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養育費の算定方法 ~子どもが予備校や学習塾に通った場合に養育費の加算が認められるか?~

  • 養育費
子どものいる夫婦が離婚する場合、子どもを監護する側の親は、もう一方の親に対して、養育費を請求することができます。

そして、養育費の金額については、養育費算定表に夫婦それぞれの収入を当てはめると、標準的な養育費の金額を簡易・迅速に算定することができます。なお、養育費算定表の見方についての詳しい説明はこちらをご参照ください。

それでは、子どもが予備校や学習塾に通った場合に、養育費の加算が認められるのでしょうか。

予備校や学習塾に通った場合の養育費の加算

子どもが予備校や学習塾に通った場合の費用については、養育費を支払う側の親(義務者)が承諾した場合や、承諾していない場合であっても、義務者の収入や学歴、地位、当事者の従前の生活状況及び現在の生活状況等から、その費用を負担することが不合理でない場合には、養育費の加算が認められることがあります。

この点、婚姻費用の事案ですが、子どもが私立学校や塾に通っている場合に、その費用が婚姻費用に加算されるかが争われた事案で、私立学校の費用については両親に按分負担させて加算することとしたものの、塾の費用については加算を否定した審判例があります(平成22年8月千葉家裁審判)。

この事案では、義務者の減収が見込まれており、私立学校の費用に加えて塾の費用まで按分負担させると、義務者の生活が成り立たなくなることが予想されたため、塾の費用の加算が認められなかったものと考えられます。

なお、この審判例において、私立学校の学費は加算を認め、塾の費用は加算を否定したことから、裁判所は、習い事や予備校の費用よりも、私立学校の学費を優先して考えているものと思われます。

私立学校に通った場合の養育費の加算

養育費算定表では、子どもが公立学校に通うことを前提に養育費の金額が算定されています。

そのため、上述の事例のように、子どもが私立学校に通った場合の学費について、養育費の加算が認められることがあります。

なお、私立学校の学費についても、予備校や学習塾の費用の場合と同様に、義務者の承諾の有無や、義務者の収入・学歴・地位などを考慮して、費用を負担させることが不合理でない場合には、養育費の加算が認められることになります。

この点、子どもが私立の幼稚園に通った事案で、養育費算定表では私立学校その他の教育費は考慮されていないことから、私立幼稚園の費用について、標準的な公立幼稚園の費用を超える部分は権利者・義務者双方の基礎収入に応じて按分するのが相当であるとした裁判例があります(大阪高決平成21年11月17日)。