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養育費・婚姻費用の増額請求・減額請求

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養育費・婚姻費用の増額・減額請求とは

 養育費や婚姻費用は、双方の収入や子の状況に応じて、当事者間の協議、調停、審判等で具体的な金額が定められますが、その後に当事者あるいは子の事情に変更が生じた場合、その事情に応じて増額または減額が認められることがあります。
 養育費・婚姻費用の増額・減額請求は、当事者間の協議で合意に至らなかった場合、家庭裁判所の調停手続で話し合い、調停が成立しなかった場合は自動的に審判に移行します。

増額・減額請求できる主なケース

当事者の収入の大幅な増減による事情変更

 養育費や婚姻費用の取り決めをした時と比較して、転職や退職その他の理由により当事者の収入に大幅な増減が生じた場合は、増額・減額請求をすることができます。
 例えば、義務者の収入が大幅に増えた場合や権利者の収入が大幅に減った場合は増額請求をすることができ、逆に義務者の収入が大幅に減った場合や権利者の収入が大幅に増えた場合は減額請求をすることができます。
 しかし、義務者が養育費や婚姻費用の支払いを免れるために退職した場合や、合理的な理由がなく退職した場合は、実際に収入が大幅に減少した場合であっても減額請求は認められません。

当事者の再婚による事情変更

 当事者が再婚した場合は、以下の事情に応じて養育費の減額請求が認められることがあります。

権利者が再婚した場合

 権利者が再婚して、再婚相手と子が養子縁組をした場合は養育費の減額(または免除)が認められる可能性が高くなりますが、再婚相手の収入がないときや子を扶養するには不十分であるときは個別に判断されることになります。

義務者が再婚した場合

 義務者が再婚して、再婚相手の子と養子縁組をした場合や再婚相手との間に子が生まれた場合は、その子を扶養する義務が発生するため、養育費の減額請求をすることができます。
 また、再婚相手の就労状況や収入によっては、義務者が再婚相手を扶養する義務が発生するため、養育費の減額請求が認められることがあります。

子の進学による事情変更

 子の進学や留学により多額の教育費が必要となった場合、養育費や婚姻費用の増額請求が認められるかについては、両親の収入、子のアルバイト収入や奨学金の有無など経済的な事情のほかに、両親の学歴、職業、再婚の有無とその家族状況、義務者が子の進学を承諾していたかどうかなど様々な事情を考慮して判断されることになります。

子または当事者の病気・怪我による事情変更

 養育費・婚姻費用算定の基準となる算定表は、風邪や日常生活で生じる小さな怪我などの一般的な医療費については考慮の上で既にその基準額に含まれていますが、子に大病が見つかった場合など合意時において想定できない特別の医療費は基準額に含まれていません。
 そのため、子について特別の医療費が必要となった場合は、権利者・義務者双方の収入に応じて案分し、義務者が負担すべき額については増額請求をすることができます。
 また、子ではなく当事者の病気・怪我により特別の医療費が必要となった場合、それにより就労が困難な状況となり減収につながったときは、増額・減額請求が認められることがあります。
 なお、特別の医療費であっても、養育費・婚姻費用についての合意をする時点で子や両親の持病などが判明していた場合は、通常、そのために必要な医療費を考慮の上で算定し合意に至ったものと考えられるため、その後に増額・減額請求をすることはできません。

増額・減額の始期

 養育費・婚姻費用の増額・減額の始期(いつから増額・減額になるのか)については、原則として請求時点あるいは調停・審判申立時点とされています。
 例えば、令和3年1月に義務者に対して増額請求をしたが協議がまとまらず、令和3年3月に家庭裁判所に調停を申立て、令和3年12月に調停が成立した場合、請求時点である令和3年1月あるいは調停申立時点である令和3年3月を増額の始期とするのが原則です。
 しかし、子の進学を理由とする増額請求の場合に子の進学時点を始期としたり、義務者の減収を理由とする減額請求の場合に減収となった時点を始期とするなど、増額・減額の事由が発生した時点を始期とするケースもあります。