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子どもの収入を理由とする養育費の減額について

  • 養育費

 子どもがある程度の年齢となればアルバイトをして給与を得たり、進学にあたって奨学金を受給したりすることは一般的に多くあります。このように子ども自身に収入がある場合、養育費を算定する際に、考慮すべきでしょうか。

 本コラムでは、子どもの収入を理由とする養育費の減額について解説いたします。

アルバイト収入がある場合

 一口にアルバイトによる収入があるといっても、臨時のアルバイトや長期休暇のときのみアルバイトをしている場合もあれば、日常的にアルバイトをすることで相当程度の収入を得ている場合もあり、事案により様々なケースが存在すると考えられます。

 この点、裁判所は、以下のように、養育費等の請求において、アルバイト料を収入として取り扱う必要はなく、額の算定においても考慮する必要はないと判断する傾向にあるようです。 

 相手方は、長男の生活費について、長男は学生ではあるがアルバイトで年間約70万円の収入があり、これによって生活費を賄うことが可能であるから、長男の生活費に対応する婚姻費用を支払う必要はない旨主張している。しかし、長男がアルバイトをしていたとしても、…長男は成人していたとしても未成熟の状態であるといえ、相手方に、長男の生活費に対応する婚姻費用として、標準算定方式により15~19歳の子と同様の生活費指数90を用いて算出した額を負担させるのが相当である。

さいたま家裁川越支部平成31年4月16日審判

 抗告人Aは、長期休暇中に週2回のアルバイトを開始したが、その額はわずかである上、大学への通学に長時間(片道約2時間)を要しており、継続的かつ確実なものとはいえないから、このことをもって、上記の試算額を減じるのは相当ではない。

大阪高裁平成30年3月15日決定

奨学金を受給している場合

奨学金は給付型・貸与型があります。

給付型

 養育費の算定において、考慮されるものと考えられます。

貸与型

 貸与型の場合、様々な事情が考慮されて判断されることになると考えられます。

 なお、東京家庭裁判所平成27年8月13日審判は、「しかしながら、貸与とはいえ、これらの奨学金により長男及び長女の教育にかかる学費等が賄われていることは事実であり、しかも、これらの奨学金で賄われる部分については、基本的には、長男及び長女が、将来、奨学金の返済という形で負担するものであって、当事者双方が婚姻費用として分担するものではない(このことは、長男が相手方の別居を理由に奨学金の額を増額していたとしても、異なるものではない。)のであるから、奨学金の貸与の事実が、相手方の婚姻費用の分担義務を軽減させるべき事情にならないということはできない。」としています。

まとめ

 以上のように、子どもの収入を理由とする養育費の減額請求は、事案によって裁判所の判断が分かれる結果となっています。

 養育費についてお悩みの方は、ご相談いただければと思います。