養育費とは
- 養育費
養育費とは
養育費(子の監護に要する費用)とは、未成熟子が経済的・社会的に自立するまでに必要な衣食住の費用、教育費、医療費などを指します。
父母が協議離婚をする際には、子の親権や面会交流に加え、養育費の分担について定めます(民法766条1項)。
協議が調わない場合は家庭裁判所がこれを定めます。
生活保持義務
親の子に対する養育費支払義務は、親に生活の余力がなくても自分と同じ水準の生活を保障する「生活保持義務」であるとされています。
養育費は、子が父母の共同生活の一員であった場合と同様の生活水準を維持させるための費用であり、親権の有無や同居の有無を問わず、親子という身分関係から当然に発生します。
実務上の算定には標準的算定方式が用いられています。
養育費の支払方法
養育費は定期金債権としての性質を持ち、一般的には毎月一定額を支払う形で合意されます。
令和6年改正民法による新制度
令和6年改正民法は、令和8年4月1日に施行され、養育費に関しても新たな制度が導入されました。
法定養育費とは
民法766条の3により、一定の要件のもと、父母間で養育費の取決めがない場合でも、離婚時から請求可能な「法定養育費」制度が新設されました。
法定養育費の額は、父母の実際の収入等の個別事情にかかわらず、一律に「月額2万円 × 子の数」として算定されます。
この請求権は離婚の日から発生し、取決めが成立した日、家裁の審判確定日、または子が18歳に達した日のいずれか早い日まで存続します。
なお、法定養育費は、父母間の協議や家庭裁判所の手続により具体的な養育費が定められるまでの暫定的・補充的な制度です。実際の養育費額は、父母の収入、子の人数・年齢、生活状況等を踏まえ、標準的算定方式等により定められることになります。
養育費債権の先取特権とは
民法308条の2に基づき、養育費の債権には先取特権が付与されました。これにより、一定額の範囲では、公正証書や調停調書などの債務名義がない場合でも、養育費の取決めを基礎として、民事執行手続により差押えを申し立てることが可能となりました。ただし、実際の申立てにあたっては、養育費の取決めの存在・内容を示す資料等が必要となります。なお、先取特権を行使して優先弁済を受けられる額は、法務省令により、「月額8万円 × 子の数」を上限とするものとされています。
認知した子の養育費
法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子(非嫡出子)であっても、父親がその子を認知した場合には、親権者でなくても生活保持義務としての養育費分担義務を負うことになります(昭和37年6月15日仙台高裁決定・家月14巻11号103頁、昭和37年12月12日広島高裁決定・家月15巻4号48頁)。
したがって、婚姻していない父母の間に生まれた子であっても、父が認知すれば、父子関係が法律上成立し、父はその子に対する扶養義務・養育費分担義務を負います。
※本コラムは掲載日時点の法令等に基づいて執筆しております。
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