会社経営者(社長)を夫にもつ妻の離婚について ~妻が会社の役員になっている場合~
- 会社経営者(社長)
このような場合、実際に妻が会社の役員として業務を担っている場合と、単に名義だけ用いられている場合がありえますが、いずれの場合であっても、離婚に伴い、夫から、会社の役員を辞するよう要求されることあります。
会社を経営している夫からすれば、離婚に伴い夫婦関係を清算するとともに、会社の関係も清算しておきたいと考えるわけですが、他方で、妻からすれば、会社における地位を失うことによって、それまで得ていた収入を完全に断たれる場合もあります。
では、このような場合、妻はどのように対応すればよいのでしょうか。
以下、夫が株式会社の代表取締役であり、妻が株式会社の取締役または監査役である場合を前提に考えます。
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役員の選任・解任手続き
前提として、株式会社における取締役、監査役の選任、解任の手続きについて、会社法で以下のように定められています。
取締役の選任
取締役は、株主総会の決議により選任されます。
監査役の選任
監査役は、株主総会の決議により選任されます。
取締役の解任
取締役は、任期中いつでも、株主総会の決議により解任できます。
監査役の解任
監査役を解任するには、他の役員と異なり、株主総会の特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権数の3分の2以上をもって可決となる決議をいいます。)による必要があります。
妻が株式会社の取締役、監査役であった場合
上記のとおり、妻が株式会社の取締役、監査役であった場合、決議要件さえ満たせば、いつでも取締役、監査役を解任することができるため、夫側が株式の過半数(監査役の解任においては3分の2)を占めており、有効に解任の決議がなされた場合は、妻において役員の地位を争うことは困難です。
取締役・監査役を解任された場合
任期中に解任された取締役・監査役は、正当な理由がある場合を除き、会社に対して損害賠償請求することができます。
任期に対する取締役・監査役の期待を保護することが目的であるため、損害額は、原則として、残存任期中に得られるはずであった役員報酬相当額となります。
正当な理由としては、病気で職務を続けられないこと、法令違反の職務執行をしたことなどが考えられますが、離婚をすることになった、夫婦仲が悪くなったというだけでは、認められないのが通常であろうと思われます。
そのため、妻としては、任期中に夫から取締役・監査役を解任された場合は、会社に対する損害賠償請求を検討することとなります。
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