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株式の財産分与~株価が急落した場合の株式の評価方法が問題となった事例(広島高岡山支判平成16・6・18)

  • 株式

 婚姻期間中に取得した株式は財産分与との対象となります。

 本コラムでは、株価が急落した場合の株式の評価方法が問題となった事例(広島高岡山支判平成16・6・18)を紹介いたします。

争点

 株価が変動した場合の財産分与における評価方法

裁判所の判断

 …各株式の価格については、一審原告の主張する平成9年3月21日の時点における株価(合計金4812万円)と一審被告の主張する同14年5月7日の時点における株価(合計金1309万6000円)とを比較すると、後者の時点で各株式の株価が相当大幅に下落していることは明らかでおり、株価が日々大きく変動するものであって、資産としての確実性を有しないことなどを考慮すると、上記両時点の平均値をもって評価額とするのが相当であり、これによれば、…株式の評価額は合計金3060万8000円となる。

コメント

 夫婦が婚姻中に株式を取得した場合、財産分与の対象財産に含まれることになります。株式は評価額が日々変わっていく性質のため、いつの時点の評価額を採用するかによって、財産分与の対象となる金額が大きく変化します。

 この点、財産の評価の時期としては、口頭弁論締結時などの財産分与時点とするのが一般的です。

しかし、基準時の前後で株価が大きく変動している場合など、原則どおりに財産を評価すると著しく公平性を欠くといえるような場合もあります。

 本事例では、株価の合計額が別居から第一審口頭弁論締結時までの5年で約3500万円と大幅に下落していることから、株価が日々大きく変動売るものであって資産としての確実性を有していないことなどを考慮して、両時点の平均値をもって評価額とするのが相当であると判断しました。