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養育費の算定方法 ~父親または母親が失業保険を受給している場合〜

  • 養育費
子の養育費は、養育費を請求する権利者、義務者双方の収入によって相場を確認することができます。

では、義務者である父親(または母親)が失業保険を受給している収入がない場合は、養育費の額は、どのように決めることになるのでしょうか。

義務者である父親(または母親)が失業している場合の収入認定

養育費の支払義務者が失業していたとしても、養育費の支払義務を当然に免れるわけではありません。

潜在的稼働能力がある場合には、稼働能力に応じた収入が認定され、養育費の算定の基礎の収入とされます。

義務者である父親(または母親)が失業保険を受給している場合

養育費の支払義務者が失業保険を受給している場合、失業保険は、養育費算定の基礎となる収入となるのでしょうか。

この点、失業保険については、生活保護費とは異なり、失業者のみではなくその失業者が扶養義務を負う家族の生活維持という趣旨も含まれております。

そのため、給付金額が少なくとも、一定の割合は扶養に充てられることが予定されているため、養育費算定の基礎となる収入であるといえるでしょう。

もっとも、算定表においては、給与所得者の総収入のうち、標準的な職業費(給与所得者として終了するために必要な費用をいいます。)として、概ね13〜18%を控除したうえで基礎収入(養育費に割り当てることのできる基礎となる収入をいいます。)を算定していますが、失業保険受給者の場合は、職業費を負担していないため、基礎収入を算定するにあたり、職業費の割合を控除しないことになります。

大阪高裁平成6年4月19日決定

同決定は、相手方(父親)が無職で収入がなく、多額の負債を抱えていて経済的余力がないことを理由とする子の監護に関する処分(養育料)申立却下審判に対する抗告事件において、親である相手方が負債を抱えていたとしても、自らの生活が維持されており、債務の弁済がなされている以上、未成熟子である事件本人の扶養義務を免れる余地はないとして、相手方の退職原因、新たな就職先を探す努力の程度、相手方の潜在的労働能力、雇用保険給付金に関する詳細な事実関係等につき、さらに調査、審理を尽くさせるため、原審判を取り消し、差し戻しました。