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養育費の算定方法 ~自営業者の年収をどのように計算するか~

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養育費の算定の基礎となる総収入の認定

養育費の金額の算定方法としては、標準算定方式に当てはめて算定する方法(詳しくはこちらをご参照ください。)と、養育費算定表を利用して標準的な金額を簡易迅速に算定する方法(詳しくはこちらをご参照ください。)があります。

どちらの算定方法においても、父親と母親双方の総収入(年収)を基に養育費が算定されることになります。

ここで、給与所得者の場合には、源泉徴収票の「支払金額」が総収入とされます。それでは、自営業者の場合には、どのように総収入が認定されるのでしょうか。

自営業者の総収入の認定方法

自営業者の総収入を認定する際には、確定申告書を利用します。

もっとも、単純に確定申告書上の収入金額や所得金額が算定の基礎となるわけではなく、確定申告書上の「課税される所得金額」を算定の基礎としたうえで、その金額に実際には支出されていない控除項目等を加算することになります。

具体的に「課税される所得金額」に加算すべき項目は、
①現実に支出されていないもの(「雑損控除」、「寡婦、寡夫控除」、「勤労学生控除」、「障害者控除」、「配偶者(特別)控除」、「扶養控除」、「基礎控除」、「青色申告特別控除額」等)
②算定表で収入に応じた標準額が既に考慮されているもの(「医療費控除」、「生命保険料控除」、「地震保険料控除」等)
③現実の支出があっても養育費・婚姻費用の支払に優先しないとされるもの(「小規模企業共済当掛金控除」、「寄付金控除」等)であるとされています(岡健太郎「養育費・婚姻費用算定表の運用上の諸問題」判タ1209号5頁)。

なお、このような算定方法がとられているのは、そもそも自営業者の収入認定の際に用いられる確定申告書上の「課税される所得金額」が、所得金額から「所得から差し引かれる金額」等が差し引かれた金額であり、この控除項目の中には現実の支出がない税法上の控除も含まれていることから、これをそのまま自営業の収入として認定することは妥当でないと考えられるためです。