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医者・医師・歯科医師を夫にもつ妻の離婚について ~医療法人名義の財産が財産分与の対象となるか~

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法人名義の財産

そもそも医療法人に限らず、およそ『法人』とは、「自然人以外で権利・義務の主体として法律によって認められた存在」をいいます。

そして、法人は、一個人とは別に独立して財産を持ったり、負債を負ったりすることができます。

それゆえ、たとえ夫が経営する医療法人であっても、夫の個人の財産とは区別して、その医療法人が保有している財産が観念されることとなります。

財産分与とは

そして、財産分与とは、夫婦が協力して築いてきた財産を、離婚に際して分け合うことをいいます。

したがって、財産分与は、基本的には、夫婦共有財産を清算するということになります。

夫婦は結婚後協力して住宅を購入したり、自動車を購入したり、あるいは預金をしたりすることになりますが、離婚にあたって、これらを清算するわけです。

それゆえ、財産分与の対象は、夫または妻の名義のいかんにかかわらず、夫婦共同生活の中で夫婦が協力して形成してきた財産ということになります。

医療法人名義の財産が財産分与の対象となるか

このように財産分与の対象が、名義のいかんを問わず、夫婦が協力して形成してきた財産である以上、ある財産が、たとえ医療法人名義になっていたとしても、実質的に見て夫婦の共有財産といえる場合については財産分与の対象となりえます。

それゆえ、そのような場合、医療法人の経営者を夫にもつ妻において、当該医療法人が設立されるにあたって夫婦共有財産が用いられたのか否か、医療法人が所有する資産の管理・運営がどのようなものであったか、医療法人に夫の支配がどの程度及ぶのか、夫の理事報酬の設定はどのようなものであったか等を詳細に調査、検討し、その医療法人名義の財産が実質的にみて夫婦共有財産であるということを主張、立証をすることが重要となります。

特に夫個人名義の財産がほとんどなく、夫が何らかの意図をもって、夫婦の財産を医療法人名義に移していることがうかがわれるような場合には、医療法人名義の財産が実質的にみて夫婦共有財産であるとの主張、立証が重要な意味を持つこととなります。