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協議離婚の無効確認手続きについて

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 知らない間に離婚届が提出されてしまっていた場合など、形式上有効に婚姻が成立した夫婦について、戸籍を訂正するには、離婚関係の無効を確認しなければなりません。

 本コラムでは、離婚無効確認の手続きについて、解説いたします。

離婚の無効が認められる場合

 離婚の無効が認められるのは「離婚の意思」、もしくは「離婚の届出」がなかった場合となります。離婚の届出については、離婚届の内容に不備があったとしても、いったん受理されれば離婚は有効になると規定されています(民法765条2項)。そのため、離婚が無効となるのは離婚の意思が欠けている場合になります。

離婚意思を欠く場合

 夫婦の双方、または一方に離婚をする意思がないのに離婚届が提出された場合、その離婚は無効となります。

 一方、生活保護を受けるためなどの理由で偽装離婚をした場合では、「法律上の夫婦関係を解消させる意思」が存在するため、離婚は無効とはなりません。

意思能力を欠く場合

 意思能力のない人がした法律行為は無効であるため、離婚についても同様に無効となります。

離婚の無効を確認する手続

 離婚の無効を主張する場合は、配偶者を相手方として「離婚無効確認」の手続きをとらなければなりません。

離婚無効確認調停

 離婚無効確認を求める場合、まずは調停を申し立てなければなりません(家事事件手続法257条1項)。

 申立てを行えるのは、婚姻の当事者、または、離婚無効の確認の利益を有する親族その他の第三者です。相手方となるのは、申立人が婚姻の当事者である場合は他方配偶者であり、親族その他の第三者である場合には夫婦両名となります。なお、夫婦の一方が死亡している場合には、後述する「合意に相当する審判」ができません。

 管轄となる裁判所は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所となります。

 申立があると、調停委員及び調停期日が指定され、双方当事者から事情を聴取します。

合意に相当する審判

 離婚の無効を確認することについて、当事者間で合意が成立した場合であっても、合意だけでは婚姻無効となりません。

 家庭裁判所は以下の条件が整ったとき、調停委員会を組織する調停委員の意見を聞き、必要な調査をした上で、合意を正当と判断したとき、合意に相当する審判をすることができます(家事事件手続法277条) 

  • 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。
  • 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。

 合意に相当する審判がなされ、審判が確定した場合は、離婚の無効を確認する確定判決と同様の効力が生じます。この審判により婚姻の無効が対世効をもって確認されます。

 協議離婚の無効を確認する審判が確定した後は、申立人は、合意に相当する審判が確定した日から1ヶ月以内に、戸籍の訂正を申請しなければなりません。

 ※対世効…効力が当事者のみならず、第三者に対しても及ぶこと

 なお、合意に相当する審判に対し、当事者から適法な異議申し立てがあり、かつ異議に理由があると認められた場合、家庭裁判所は合意に相当する審判を取り消します。利害関係人から適法な異議が申し立てられた場合も同様です。

離婚無効確認の訴え

 調停が不成立となった場合、離婚無効を求める側は、改めて、「離婚無効確認の訴え」を家庭裁判所に起こす必要があります。

 管轄となる裁判所は、離婚の当事者である夫婦のいずれかの住所地を管轄する家庭裁判所となります。

訴訟要件

当事者適格

 離婚無効確認の訴えを提起することができるのは、離婚の当事者はもちろんのこと、夫婦の子や、相続権に影響を受けるなど離婚無効確認を求めることについて法的な利益を有する第三者も可能となります。

 また、離婚の当事者の一方が訴えを提起する場合、相手が被告となり(相手方が死亡しているときは検察官となります。)、第三者が訴えを提起するときは、離婚の当事者双方となります(離婚当事者の一方が死亡しているときは、他方のみを被告とし、双方とも死亡している場合は検察官を被告とします。)。

協議離婚の提出

協議離婚の届出が出されたことが訴訟の前提となります。

要件事実

 離婚の当事者の一方、または双方に離婚の意思がなかったことが必要となります。

 裁判では、協議離婚の取り消しや無効を主張する原告側が、離婚意思の不存在を主張立証しなければなりません。

離婚意思について

 離婚意思については、以下の3種類が想定されます。

  1. 実質的意思説
    社会習俗上の夫婦関係を解消する意思で足りるという見解
  2. 法律的意思説
    離婚の法律効果を受け入れる意思で足りるという見解
  3. 形式的意思説
    離婚届を提出するという意思で足りるという見解

 判例では、②の法律的意思説を採用していると考えられています。

裁判例(最判昭和57年3月26日)

【事件の概要】 

 夫Aが病気療養のため生活保護を受けることになったところ、妻Xには収入があるのにその申告をしていなかったため、福祉課の担当者からXの収入の届出義務があると注意されました。そのため、XとAは、不正受給分の返還を免れ、引続き従前と同額の生活保護金を受給するために協議離婚の届出をしましたが、その後も同居を継続し、従前と同じ生活関係を続けました。その後、Aの死亡後、Xが離婚無効確認を検察官に対して請求しました。

 一審、原審とも、XとAは法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいて離婚届出をしたものであるから、両者間に離婚意思はあったとして本訴請求を排斥したため、Xが上告しました。

【裁判所の判断】

 原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、本件離婚の届出が、法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてされたものであつて、本件離婚を無効とすることはできないとした原審の判断は、その説示に徴し、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。

判決の効力

 請求を容認する判決が確定すれば協議離婚が無効であることが確定し、請求を棄却する判決が確定すれば協議離婚が有効であることが確定します。

 もし協議離婚の届出後に当事者が再婚していた場合、離婚が無効であれば再婚は重婚となります(民法732条)。

 協議離婚の無効を確認する判決が確定した後は、原告は、判決が確定した日から1ヶ月以内に、戸籍の訂正を申請しなければなりません。