事実婚を解消する際、どのようなことに注意すべきでしょうか? - 小西法律事務所(離婚の法律相談)離婚について弁護士への無料相談は、小西法律事務所(大阪市北区)まで

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事実婚を解消する際、どのようなことに注意すべきでしょうか?

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依頼者・相談者

性別 女  年代 30代

背景・相談内容

私は、夫の不貞行為が原因で、現在離婚を検討しています。ただ、夫とは結婚式を挙げたものの、その後役所に婚姻届を提出しておらず、事実婚状態となっています。
夫や不倫相手の女性に対して慰謝料請求をすることは考えていないのですが、夫と離婚のための話し合いをする際、どのようなことに注意すべきでしょうか?

弁護士の回答・アドバイス

事実婚状態とのことですが、事実婚(や内縁関係)であっても離婚、つまり事実婚状態を解消するためには、民法770条1項各号に定められている離婚理由に準ずる要件が必要であると考えられています。
他方、別居する等、共同生活をやめることによって、事実婚状態自体は解消されます(戸籍上の手続きは必要ありません。)。
正当な理由がないのに、事実婚状態を解消された場合には、その相手方に対して損害賠償を請求することができることになります。
なお、正当な理由の有無の判断基準は、民法770条1項各号に該当するような事実が存在するか否かになります。
この点、本件では、夫に不貞行為があったとのことなので、あなたが事実婚状態を解消することについて正当な理由があるということになるため、仮にあなたが共同生活を一方的にやめたとしても、あなたには夫に損害賠償すべき義務は発生しません(ただし、夫が不貞行為の有無を争った場合には、夫に不貞行為があったことを立証できるだけの証拠があるのか等が問題になると考えられます。)。

また、事実婚であっても、財産分与の規定(民法768条)を類推して同居中に築いた財産の分与を求めることができると考えられています。
通常、財産分与の割合は2分の1ずつとされることが多いですが、財産分与の割合・内容等について特に決まりがあるわけではないので、夫との話し合いでお互いに折り合いの付く条件を探すことになります。
そして、財産分与について、当事者間で話がつかない場合には、家事調停を利用することも考えられます。
年金分割についても、事実婚であっても国民年金の第3号被保険者であった場合には、3号分割制度が利用できることになっています。
ただし、3号分割請求ができるのは、事実婚関係にある人が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるときから2年以内とされているので注意が必要です。
なお、今回は、夫や不倫相手の女性に対して慰謝料請求をすることは考えていないとのことですが、事実婚であっても不貞行為をした夫に対して慰謝料を請求することはできると考えらえており、また、不倫相手が事実婚であることを知っていたのであればその不倫相手にも慰謝料を請求することができると考えられています。