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会社経営者(社長)の夫をもつ妻の離婚 ~合資会社の出資持分の財産分与~

  • 会社経営者(社長)
婚姻後に夫婦が協力して合資会社を設立し、夫が合資会社の出資持分を保有している場合、離婚時の財産分与はどのように行うのでしょうか。

合資会社とは

合資会社とは、一部の社員が会社の債務について無限責任(会社の債務について、無制限に支払い義務を負うことをいいます。また、無限責任を負う社員を無限責任社員といいます。)を負い、他の社員は、有限責任(出資の価額を限度として会社の債務を弁済する責任を負うことをいいます。また、有限責任を負う社員を有限責任社員といいます。)を負う会社をいいます。

合資会社は、有限責任社員、無限責任社員の両方が必要となるため、最低2人の社員が存在することになります。

出資持分そのものの分与について

例えば、夫が合資会社の出資持分の30パーセントを保有していた場合、財産分与に伴い、2分の1の割合である15%の出資持分の分与を受けることはできるのでしょうか。

この点、株式会社の場合は、株主が株式を譲渡することは原則として自由ですが、合資会社の場合は、社員が出資持分を譲渡することは原則として制限されています。

具体的には、
①夫が業務を執行しない有限責任社員である場合には、業務の執行する社員全員の承諾がある場合に、出資持分の譲渡を行うことができ
また、
②夫が①以外の社員である場合には、他の社員全員の承諾がある場合に、出資持分の譲渡を行うことができます。

このように、合資会社の出資持分の譲渡には制限があり、夫婦間で自由に取り決めができることではありませんので、合資会社の出資持分が夫婦共有財産である場合は、出資持分そのものの分与を受けることは難しいといえます。

合資会社の出資持分の評価方法

上記のとおり、合資会社の出資持分については、そのものを分与することが難しいため、出資持分が財産分与の対象財産となっている場合は、出資持分を金銭的に評価して、金銭で分与を行うことをおすすめします。

具体的には、夫の保有している合資会社の出資持分について、金銭に換算したらいくらになるかを評価したうえで、その評価額の2分の1を、金銭で受領するとよいでしょう。

そして、合資会社の出資持分は、取引相場のない株式の評価方法に準じて評化することになります。

詳しくは、
会社経営者の夫をもつ妻の離婚~株式の財産分与について
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