学資保険の財産分与③ ~財産分与の実行方法について~
- 財産分与
子どもの教育資金を準備するために、学資保険に加入しているご家庭も多いと思われます。
学資保険は貯蓄性の保険であるため、一方当事者の特有財産から支払われていたなどの事情がない限り、財産分与の対象となりうる財産です。
本コラムでは、学資保険の財産分与の実行方法について解説いたします。
解約して解約返戻金を分配する場合
学資保険を解約して解約返戻金を分配する場合、契約者が解約手続を行い、相手方に財産分与の基準時の解約返戻金額に分与割合をかけた額を支払うか、または、同価値の他の分与対象財産を取得させることになります。
なお、財産分与の基準時の解約返戻金と実際の解約返戻金の差額は、財産分与の基準時以降に保険料を支払った者が取得することとなります。
契約を継続する場合
前回のコラムに記載のとおり、離婚後に学資保険の契約者と親権者が異なるのは望ましくありません。
[学資保険の財産分与② ~財産分与の方法について](url)
契約者の変更手続き
契約者と親権者が異なる場合は、契約者変更の手続を行うことが望ましいです。
保険会社によって詳細は異なりますが、一般的には次のような手順となります。
- 保険証券などを確認し、契約者変更をおこなう学資保険の証券番号を確認する
- 保険会社の窓口もしくはコールセンターに連絡する
- 保険会社から必要書類などが案内されるため、それらを提出する
- 新しい保険証券が保険会社から郵送される
また、契約者変更の際に必要となる書類はおおむね以下のものとなります。
- 保険証券
- 契約者の身分証明書
- 新契約者の身分証明書
- 印鑑
- 戸籍謄本
- 保険契約者継承請求書
- 新契約者の口座振替依頼書
なお、契約者変更の際に必要な書類は保険会社ごとにことなるので、保険会社に問い合わせることをおすすめいたします。また、契約内容によっては契約者変更ができないケースもあります。
学資保険の契約者変更は現契約者が行うことになり、親権者であっても契約者でなければ、契約者変更はできませんので注意が必要です。なお、一部、代理人による手続を認めている保険会社もありますが、契約者の委任状が必要となります。
代償金の支払など
離婚後に学資保険の新契約者となるものが、相手方に財産分与の基準時の解約返戻金額に分与割合をかけた額の代償金を支払うか、または、同価値の他の分与対象財産を取得させることになります。
別居後に旧契約者が保険料を支払っていた場合、離婚後の新契約者は、旧契約者に対して、代償金と併せて、旧契約者が支払った保険料を支払うことが相当となります。