調停離婚
調停離婚とは
夫婦間で離婚についての協議が調わない場合や、協議自体ができない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて離婚について話し合うことができます。これを「調停離婚」といい、家庭裁判所での手続きは「夫婦関係調整調停事件」と呼ばれます。
家事事件手続法では、離婚の訴えを提起する前に、原則として家庭裁判所に調停を申し立てなければならないとされています(調停前置主義)。これは、裁判で争う前に、調停委員を交えた話し合いによって、できる限り当事者の合意に基づく円満な解決を目指すためです。
調停で話し合われること
離婚調停では、離婚そのものに加えて、以下のような離婚に伴う様々な条件についても同時に話し合い、取り決めることができます。
- 親権者の指定
未成年の子がいる場合、親権者を父母のどちらか一方にするか、共同親権とするか。 - 財産分与
婚姻中に夫婦で協力して築いた財産をどのように分けるか。 - 養育費
子どもが自立するまでに必要となる生活費や教育費などの分担。 - 慰謝料
離婚の原因を作った側が支払う精神的苦痛に対する賠償金。 - 親子交流(面会交流)
子どもと離れて暮らす親が、子どもと会って交流する方法や頻度。 - 年金分割
婚姻期間中の厚生年金記録を分割する割合。
調停の担当者と進め方
調停は、非公開の場で、中立的な立場の専門家を交えて行われます。
調停委員会
調停は、裁判官(または調停官)1名と、民間から選ばれた家事調停委員2名以上で構成される「調停委員会」が担当します。調停委員会は、当事者双方から事情を聴き、専門的な知見や経験に基づいて助言やあっせんを行い、話し合いによる合意形成をサポートします。
家庭裁判所調査官
心理学や社会学などの専門知識を持つ家庭裁判所調査官が、調停手続きに関与することがあります。特に、親権や親子交流が争点となる場合には、子の監護状況や子の意思を把握するための調査を行います。また、令和6年の民法改正で導入された「親子交流の試行的実施」において、適切な親子交流の実現に向けた調整を行うこともあります。
調停の手続き
申立て
調停の申立ては、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所に行います。
調停の成立
話し合いの結果、当事者間で離婚や諸条件について合意が成立し、その内容が「調停調書」に記載されると、調停は成立します。この調書の記載は、確定判決と同じ効力を持ち、この時点で法的に離婚が成立します。調停成立後、申立人は10日以内に、調停調書を添付して市区町村役場に離婚の届出(報告的届出)を行う必要があります。
調停が不成立の場合
当事者間で合意に至らず、調停が不成立となった場合、以下の選択肢があります。
- 離婚訴訟の提起
離婚を望む当事者は、家庭裁判所に離婚の訴えを提起することができます。 - 審判離婚(調停に代わる審判)
離婚そのものについては合意があるものの、財産分与や親権などの付随的な条件でわずかな対立が残り調停が成立しない場合などに、家庭裁判所が職権で離婚等を命じる「審判」をすることがあります。この審判に対し、当事者が2週間以内に異議を申し立てなければ、確定判決と同じ効力を持ち離婚が成立します。しかし、異議申立てがあれば審判の効力は失われます。

