離婚の届出
離婚の手続においては、市区町村への「離婚の届出」という手続が重要な役割を果たします。
とくに協議離婚の場合は、離婚の届出が受理されて初めて法律上の離婚が成立します。一方で、裁判所の手続によって成立した離婚では、届出の意味や手続の内容が異なります。以下では、離婚の届出の基本的な仕組みと、それぞれの場合における手続上の注意点について解説します。
協議離婚の場合
成立要件と届出
協議離婚は、夫婦の離婚意思の合致(民法763条)と、戸籍法に基づく届出(民法764条・739条)によって成立します。これを「創設的届出」と呼び、届出が受理されることで離婚の効力が生じます。届出は、夫婦双方および成年の証人2人以上による署名(または口頭)が必要です。
未成年の子がいる場合
未成年の子がいる場合は、父母の協議により、離婚後の親権を父母双方で行うか(共同親権)、その一方が行うか(単独親権)を定めなければなりません。親権者の定めがない届出は原則として受理されませんが、親権者指定の家事審判・調停の申立てをしていれば、親権者を定めずに届け出ることが可能になります。
手続上の留意点
従前は本籍地以外の市区町村に提出する場合には、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)が必要とされていましたが、令和6年3月1日以降は、戸籍謄本の添付は不要となりました。なお、一方が勝手に届出を出すことを防ぐ「離婚届不受理申出」の制度も存在します。
裁判所の関与のもと成立した離婚の場合
この場合、離婚自体は裁判所の手続の中で既に成立しているため、市町村役場への届出は「報告的届出」としての性質を持ちます。
調停・和解・請求の認諾による離婚
- 調停離婚
家庭裁判所の調停において離婚の合意が成立し、調書に記載された時点で確定判決と同一の効力が生じ、離婚が成立します。不服申立ては認められないため、確定証明書は不要です。 - 裁判上の和解・請求の認諾
和解が成立し、または被告が原告の請求を認める(請求の認諾)旨が調書に記載された際も同様に離婚の効力が生じます。不服申立ては認められないため、確定証明書は不要です。ただし、請求の認諾による離婚は、親権者の指定や附帯処分の申立てが必要ない場合に限定されます。
審判・判決による離婚
- 審判離婚
調停が成立しない場合に、裁判所が相当と認め職権で行う「調停に代わる審判」です。2週間以内に適法な異議申立てがない場合に確定し、離婚が成立します。離婚の届出の際は、審判書の謄本に加え、確定証明書を添付しなければなりません。 - 判決離婚
民法770条1項の離婚原因がある場合に提起される離婚の訴えに基づき、判決が確定(控訴・上告期間の経過等)することで成立します。離婚の届出の際は、判決書の謄本に加え、確定証明書を添付しなければなりません。
届出の注意点
調停成立、和解成立、審判・判決の確定等から10日以内に届け出る必要があります。届出人は原則として申立人(原告)です。届出を怠ると5万円以下の過料に処される可能性があります。

